当たるも八卦、

amane92007-03-19

 ちょいブランク。所用で離日したせいで、その前後もなんだか慌ただしいもんで、ずいぶん落語に行けなかった気分が沸々マグマ溜まり。彼の地では、天候不良で足止め食うし(空港って二日間も長時間いるとほんとやる事無い)飛んだが出発めちゃめちゃ遅れるし(まあ安全のためだからね。でも、2時間半待たしてそれから気体の氷を溶かさなきゃって理由はどうかと。今凍った訳じゃねえだろ、溶かしとけよ。)荷物は届かないし(その機の乗客全員分丸ごと別の便に乗ってた、何故?逆に凄い)機内食食って具合悪くなるし(何の因果か、体調不良か、戻したら治った)たびたびいろんな事に当たる当たる。帰ってきた日の、落語会行脚の皮算用が二日分すっ飛ぶ。わざわざ荷物に忍ばせた東京かわら版を眺めながら思い浮かべた流れは雲散霧消。あららら。
 行き先には、当たり前だが、時差はあるけど寄席は無い。
 機内で落語を聞いてみたが、基本的に機上では映画三昧でほとんど寝ないの俺なのに、寝てしまった。

 さあ、きょうから仕切り直し。国立演芸場に向かおうかと思ったが時間がちょっと間に合わなかった。まあチケット完売でしたが。で、内幸町へ。ネットで確認するとこれも売り切れ。いろいろ当たりまくってるもんで(いいことはあんまりないけどね)文字通り当たってくだけろ、と当日キャンセル狙いで会場へ。全席自由だし行けるかなと。一応だめだった場合のことは想定しつつ。入り口で当日券の有無を尋ねると、これから出るかどうか確認するとのこと。すると、当日引き換えの列に並んでおられた女性から、連れが来れなくなったのでそのチケットをいかがかというようなありがたい申し出。十分に感謝して入場。いいことあった。ありがとうございました。



 3/19   柳家三三 桂吉弥 ふたり会 at 東京 内幸町ホール 19:00〜


 開口一番
  桂 二乗:子ほめ

  桂 吉弥:親子酒

  柳家三三:錦の袈裟
   仲入り

  柳家三三:夏泥
  桂 吉弥崇徳院



 面白かった。桂 吉弥。上方の若手で評判が高いのも十分うなずける。がんがん笑いを取ってた。東京と上方で、親子酒ってこんなふうに違うんだなんて知らなかった。(勉強します。)親の視点メインの東京。子の視点メインの上方。それに親が子に酒をやめさせようとする背景など描かれない。ふたりとも登場する時はいきなり酔っぱらってる。配られた演目と順番が違ったせいもあったがこれが「親子酒」だと本当に確信を得たのはサゲを聞いてからだったし。ただ背景がない分、子が家に戻っての親とのやり取りによるサゲが性急な気はしたが。親子の酔い方の違い(どっちもロクでもないが)、酔っぱらった子の、うどん屋とのやり取りや家が分からずやってしまった長屋での行状などおもろいおもろい。軽くて気が利いていて明るい芸。「崇徳院」も、筋もサゲも何ということもない噺だと思うが、人物の造形、やり取り、動き、表情などなどで客席を笑わす笑わす。関係ないが、一之輔にちょっと風貌が似てるような。

 三三はまあよかったが、本調子ではない気がした。時折おーっと感じさせるところはもちろんある、でも全体的にいつもより緩い気がした。といってもまだまだ数回しか見ちゃいないが。俺的には「夏泥」の方が良かったかな。泥棒と大工の迫力(虚勢)の質の違いとその状況・立場が変遷して行くのが面白かった。で思ったんだが、「錦の袈裟」の翌朝の風景と「明烏」のそれって似てるんじゃないかと。似せてるのか知らんが。与太郎と仲間、若旦那と遊び人二人がかぶる。

 二人はそれぞれ、人間国宝米朝、小さんの孫弟子。枕で二人ともそれぞれのエピソードを語っていた。やはりいろんな意味ですごいひとたちだ。で、やはり素晴らしい血筋ってことで。またこの会あるらしいので是非行きたい。

 二乗さんは、笑いは少なかったがよどみのない口調とか好感を持った。

 しかし、三三さんが枕で語っていたが、先週末の末広の深夜寄席、338人も入ったらしい。なんか深夜寄席盛り上がってんなあ。その日は面子からいってかなり多いとはふんでたけど。でも、明らかに他の満員御礼の落語会とは客層違うし若いし。なんでだろ?安いから?週末でスタート遅いから?今度来てる人に聞いてみようか。
 もちろん予定では行くつもりでしたが、まだ彼の地を立つこともできていませんでした。

 にわかなファンとはいえ落語好きにはたまらん街ですな、東京は、と勝手ながら改めて思ったのであった。さて、と。