入梅一過

amane92007-06-15

6/15 夕刊フジ平成特選寄席 at 赤坂区民センター 19:00〜




     立川志らべ:狸札
     三遊亭遊馬酢豆腐
     柳家喬太郎:諜報員メアリー
       お仲入り
     林家彦いち:熱血怪談部
     立川志らく愛宕山




 遊馬さん、きっちり快適な芸。後半の「やす、げす」口調の若旦那が登場してからがもっと良かった。今日の喬太郎師匠、まくら炸裂。今日なんか俺、じっとりしてるんですよねぇ。じっとりした話で今日、最低3人にはカビを生えさせたい、と。じっとりとした空気が何かに火を着けたのか、今日は(俺)どうしたんだろうとか、やろうと思っていた話はやめた、とか、落語はこの後に出てくる二人で楽しんでくれとか、どんどん長くなっていくまくら。それが面白すぎる。旅先で卵一箱もらった話、豊島区(「どうせ」が肩に乗っている)、練馬区(祝、練馬区独立70年)の話。いい歳して短パンで来る彦いち氏にその旨を呼びかけ、恒例の微妙な立場の私鉄の駅北池袋、南新宿、高島町の話。(そして、また袖に向かって、今日のネタ帳「高島町」でいいから、ホントに書いたら覚えてろよ、などと宣う)そして、せつなくもみずみずしい若かりし日の高島町の思い出。そしてあっというまに「諜報員メアリー」。つぼ八の看板をさん八に、甘太郎を喬太郎北の家族犬神家の一族と書き直すくだりや、最後に障子を持って走ってくるところがべたべたなのにいいなあ。
 しっかし、仲入りで次のチケットを売るから致し方ないが、喬太郎さんが頭を下げた途端にロビーへ駆け出す客が多すぎて不快。
 彦いち氏、最近の中ではすごくよかった。まくらで今日の喬太郎さんの話。楽屋でモニターは観ることができるが音声が小さい、喬太郎さんのアクションが派手でどうも猫久に見えない(出番前にはそれをやるって言っていたそうな)、袖で志らべに確認すると「高島町」だともちろんそんなネタは知らないし無い、袖に来た途端舞台上から「いい歳して半ズボンで来るな」と言われ突然でビビったとか。木久蔵一門の芸風の話の後に、前座時代のきく麿が一門会の開口一番で舞台上で固まって犬笛の帯域のようなかすれた高音で奇声を発するばかりで進まないから座布団を引っ張って高座から引きずりおろそうかと思って木久蔵師匠にどうしますか?と尋ねると緞帳を下ろしてその後何もなかったことにしてそこから始めようと言われ仰け反ったら、きく麿が噺に突然入って、毎日落語を反復練習しているのは染み付いているもので全く立て板に水の状態で喋り終え高座を降りてしまった、まったく客席からの笑いのないままに。そこから熱血怪談部へ。この噺面白い。ご本人が作ったんだから当たり前だがめちゃめちゃあっている。部員が顧問の先生に感心して「さすがーっ」というと熱血体育会系の顧問の先生が鸚鵡返しに「流石(ながれいし)です。」のくだりとか(名字が流石なのだ)、早口言葉の例題で「赤グッドウィル、青グッドウィル、黄グッドウィル」(来る電車の中で思いついた割にはウケた、とのこと)とか。サゲがちゃんと怪談噺になってるところもなかなか素敵です。
 で、志らく師匠。先月末以来の高座だそう。痩せてるし緊張してる、とのこと。やはりブランク&芝居の憔悴の影響は大きかったような。今までで一番乗ってこない高座だった。笑いがない訳じゃなかったけど、前二人よりは少なかったし。こんなもんじゃないのは知ってるんで、早くリハビリしてください。