通しっ!
4/19 鈴本演芸場開席百五十周年記念 特別企画公演 花緑まつり 柳家花緑の『子別れ<通し>』 at 鈴本演芸場 17:30〜
林家二楽:紙切り
五明楼玉の輔:生徒の作文
柳亭市馬:牛ほめ
林家たい平:愛宕山
翁家勝丸:太神楽曲芸
林家彦いち:にらみ合い
林家正蔵:妖怪豆腐小僧
お仲入り
柳家花緑:子別れ(通し)
上・強飯の女郎買い、中・子別れ、下・子は鎹
定席のトリでの「子別れ」通し口演9日目。全部で約95分。さすがに声に疲れが見られる。下はなかなか良かった。客席で涙を拭く女性の姿もあった。中はまあまあ。上は、途中で、聞いている自分にとって今日はなんだか不完全燃焼な出来なんじゃないか、と不安がわき起こったりした。つまり、尻上がりに良くなって行ったってことですが。個人的にはこの上は要らなかった気がします。主人公の酔いっぷりが地に足がついてないような感じだった。酔いが若すぎるのかなあ。しかし、中から下に至る熱演は実に気持ち良く客席はしっかりとカタルシスを得ていたと思う。という意味では上はそのメリハリ、流れとして役目を果たしているのかもしれませんが。こういう試みはやはり楽しい。観にきた意味はちゃんとあった。
二楽さんの紙切り。よくあることなのかもしれませんが、切ったものをオーバーヘッドタイプのスライドで高座の後ろに映し出すのはなかなか秀逸な仕掛けだった。
玉の輔、たい平は初めて。玉の輔の、まくらが実に底意地悪いふうでこの人はこういうのが持ち味なのかなと考えたりした。たい平は、想像より(こん平門下だからか)スマートな印象を持った。語り口も爽やかで噺も現代的な空気だった。他の噺も聞いてみたくなった。市馬氏は実に気持ちいい高座。自然に淡々としかも独特の晴れやかさをもって聞かせる。分かりやすい技巧派ではないが自分にとって徐々に魅力が増してきているような。彦いちは、顔芸、顔ネタも含めて非常に受けていた。時間の関係か、いつもにも増して早口でしたが。そして、正蔵。さすがに時の人。圧倒的にでかい拍手で迎えられる。自虐的なまくらで客席にアピール。噺はあんなもんですかね。1年前ならいざ知らず、ヒロシのネタ(例のBGMと共に)を中に(それも2回も)入れ込んだ噺のアイデアはさすがにもう古いでしょう。ただ、だんだん、正蔵が悪人面になってきていてそれが面白い。